■会期 2013年9月28日(土)~10月26日(土)
14:00-19:00 水・木休み
「ものを所有しないで、さしあげることに意味をみる<プレゼント=芸術>は、やはり重要なものではあるまいか。」(『美術手帖』1980年5月号なかゆうこ+さだひこ評)
<具体美術協会>の一員、万博アーティスト、テクノロジー・アートの先駆者。あるいはサイケデリックへの志向。ヨシダミノルはこれまでそう語られてきた。本展はそれを否定するものではない。だが一方で、「ヨシダミノル」という主体だけに焦点をあてたものでもない。
万博を観ることなくアメリカへと飛んだヨシダミノルは、「シンセサイザー・ジャケット」を身に纏い、パフォーマンス・アートを繰り広げるようになった。そして帰国。「7ネンノトリップカラ カエッタ ウチュウジン」ヨシダミノルはひとりの女性と出会う。当時まだアーティスト未然形としての、荒木みどり。ヨシダミノルにとって彼女は以降格好のパフォーマンス・パートナーであり続けた。本展は、M(荒木みどり)とm(ヨシダミノル)の二人展である。
自邸を「大空ライブ美術館」と称し、生活そのものを芸術とするヨシダミノルと荒木みどりは、即興演奏、パフォーマンスなどジャンルを問わず精力的に活動を続けてきた。1980年の京都アンデパンダン展。会期中、ふたりは美術館に住まい、樵(きこり)の生活を送る。このとき荒木みどりは身籠っており、会期終盤、家族はふたりから3人になった。そしてその後、「現代家族」は4人となる。くり返すが本展は個展ではない。互いに影響を与え合い、生活を営んできたふたりの軌跡である。
本展が芸術と生活の往還とはなにかを問い直し、パフォーマンスという食卓を囲んでのコミュニケーションのなかから、ふたりの芸術がどのように生まれてきたのかを示す場となれば幸いである。